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帰り道、歩道橋の途中の手すりの部分を机にして、一万円札で紙飛行機を作った。
日の暮れた空にそれを投げると、一万円の紙飛行機はあっけなく風に呑まれ、道路へと墜落した。
その後、バイト先の塾に電話を入れて、バイトを辞めた。
君は教えるのが上手くて人気だからと引き留められたが、教えるのが下手なはずがない。
プロが作った参考書に書いてあることを、そのまま読んでいるのだから。
さらに数週間後、懲りずに古本屋でバイトを始めた。
あまり期待してなかったが、これが意外なことになかなか面白い。
チェーン店じゃなく、あまり人の来ない寂れた古本屋で、雰囲気からしても、子供は入りづらい。
ほとんどの客が男性で、大学生以上だ。
何が面白いかって、その人がどんな本を買っているのかを見るのが楽しい。
真面目そうなサラリーマンが、普通の小説の間にいかがわしい本を挟んでレジに持ってきて、恥ずかしさを隠すように、ずっと小銭を探すふりをして俯いているのだ。
結局支払いは、千円札一枚。
そもそも、小説の間に挟んで持ってくる時点で、意味のないことだ。
十冊くらいを重ねて、こちらに表紙がはっきりと見えるようにレジに置き、息を荒げながら真っ直ぐとこっちを見据えていた太った男の方が、まだ潔くてかっこいい。
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