日記 2

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そういった日々が続いたある日、その変わった客が店にやってきて、私に言ったのだ。 「だんだん、あなたのことが理解できてきた気がするんです。 あなたは自分の価値観や考えに自信を持っていて、周りに流されない、独立した考えを持っています。 でも、それを他の人に見せびらかそうとはしませんよね。 けっこう、自分の考え方を持ってる人って、それを周りに主張するじゃないですか。 でも、あなたはどうも違う。 それは、自分だけがその感情を独占したいからでしょうか。 それとも、あなたの考え方のレベルを、誰かが理解してしまうことが怖いのでしょうか」 突然だ。 突然、この人はこんなことを言ってきたのだ。 やはり変わっている。 だが、問題はもうそのレベルに留まってはいない。 私が、理解されてしまった。 全てではないとしても、その時言われた言葉で察した。 この人は、今までの誰よりも、私のことを理解してしまった。 気味が悪い。 たった数週間、本を勧め続けて、少し話しただけなのに。 気味が悪い。 気味が悪い。 気味が悪い。 出し抜かなければ。 この人に、私を理解できなくさせなければ。
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