日記 1

2/3
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
これは、誰かに宛てて書いたものではない。 強いて言うならば自分に向けて書いたものだ。 誰の目にも触れないという気分で書いたことを覚えていてほしい。 もしも誰かが、これを読めばの話だが。 他人に理解されないことに喜びを感じる。 そんな気持ちを持つことは、おかしなことだろうか。 おかしいと思ってもらえたら、それはそれで嬉しいことだ。 つまり、理解されていないのだから。 他の人が知らないことを、自分だけが知っている、自分だけが理解できることが、たまらなく気持ちがいいのだ。 小学生の頃、仲間内以外の子には秘密を教えないで楽しむような感覚に似ている。 大した秘密でもないのに、自分たちだけが知っているということに価値があり、 秘密は秘密だからこそ意味があるのだ。 ただ、似ているからと言って、あんな小さな子供たちの感情とは一緒にされたくない。 自分で言うのもなんだが、もっと高度な領域に達しているのだ。 まず、何か秘密があれば、それは仲間内であろうと、知られたくはない。 自分だけのものだ。 そしてその秘密は、たとえ知られてしまったとしても、理解はされたくはないのだ。 自分の中で、他人には理解されないだろうなと思える感情が浮かぶと、無性に嬉しく思う。 そして、他の誰かも同じように考えて、同じように誰にも理解されないことを望んでいるのではないか、なんて考えてみたりする。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!