そして誘惑はささやかれた。

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首筋を這って行く舌。 ゾクゾクっと体に静電気にも似た感覚が走り抜ける。 スルリと太ももの内側に回された手。 ピクリと体が反応する。 「だ…大丈夫…で…です。」 上がった呼吸と。 恐怖で震える声。 これが精いっぱいの抵抗。 「そうか…」 ピタリと手が止まると、スッと私の体から身を引いた。 慌てて起き上がると、急いで乱れた服を直した。 「これが支度金だ。」 何事もなかったかのように。 スーツの内ポケットから出された小切手を目の前に差し出した。
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