そして誘惑はささやかれた。

4/20
833人が本棚に入れています
本棚に追加
/225ページ
「大丈夫。実はオレもド新人でさ。」 コソッと耳打ちされた。 ほんの少し、耳にかかった息が。 常務に囁かれているような錯覚を起こして。 トクン トクン って、鼓動が高鳴って。 ガチガチの氷のような緊張感は、いつしか甘い緊張に変わった。 「店だとお金かかるから。」 そう言ってこっそり渡された携帯番号。 常務に手は届かなくても。 どこか似ている祐爾なら、そばにいられると思った。 他愛ないメールのやりとりをして。 ご飯を食べに行ったり。 映画を見に行ったり。 まるで、恋人同士のようだった。 だから
/225ページ

最初のコメントを投稿しよう!