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コードブルー、コードブルー
救急治療室、お願いします
『エレベーター・ボーイ』
入口の扉が不格好にガシャンと閉まって、ちょうど一畳半ほどの箱の中に一人きりでいると、ひとりごとを言いたくなってくることがある。
そんな時私は、きっとそこに誰かがいるんだなと空想して、「君、いつまでもこんなところにいて退屈しない?」なんて、フィクションの主人公になった気分で誰もいない天井に向かって話しかけてみたりする。
もちろん、返事なんて本当はあるわけがないんだけど、私の空想の世界では、こんな台詞が返ってくることも。
『まーね。でも、結構ここにいるのも楽しいもんだよ』
だけど、もしそれが想像の話じゃなくて、本当に天井から降ってきた声だとしたら?
それも、私が想像していたとおりの、ちょっと生意気そうな男の子の声なんてね。
外はうだるような猛暑の季節。
建物内はひんやり心地よく、狭い箱の中、ビーンと響く空調の音に耳を澄ませる。
これは私と、私が出会った幽霊少年との、ある夏の出来事だ。
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