零話目 城崎さん

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 僕の友人の城崎さんは幽霊だ。  ただの幽霊じゃない。僕の通う高校の地縛霊なのだ。  前に訊いたら、どうも屋上の自殺防止用のフェンスに寄りかかっていたら、うっかりフェンスが外れて落ちて死んでしまったらしい。  うーん。信じがたい。  加えて幽霊だというのに驚くほどに明るい。更にさばさばしてて勇敢で、活動的でかっこいい。  童話とかのヒーローを、そのまま女の子にして持ってきてしまったような、可愛いらしい人だ。  今回の物語は、そんな城崎さんから百物語に誘われた……というより巻き込まれたことから始まる。 「夏だし、怖い話の季節だし、百物語をしましょうか」 「大丈夫よ。怖い話なんてそこらじゅうに溢れてるわ。百個なんてあっという間」 「だからしましょう。百物語」
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