壱話目 信じようと、信じまいと

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   そう言って、城崎さんが僕に語ったのは、その《ロアの手紙》とやらの制約について、だった。  なんでも、封筒には幾つかの手紙が入っていて、まずその一枚目にはこう書いてあるという。  “この手紙にあなたの知るロアを一つ加えて、一人の人間に送れ。  そして、この中のロアについては10までしか人に教えてはならない。  もしこれを破れば、あなたの名前の載ったこの手紙がそのうち回りだすことになる。  私の名はロア。私が事実に打ち勝つ日まで――”  《ロア》というのはフォークロア。つまりは人々の間で語り継がれた色々な伝承のことらしい。  なるほど、不幸の手紙みたいなものか。  あー流行ったなあなんて思いつつ、僕は城崎さんの話の続きを聴こうと――したが、そういえば何が危ないのかが分かっていない。
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