壱話目 信じようと、信じまいと

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  「――まぁ、大体は分かりましたけど、一体何が《危ない》んですか?  それだけ聴くと、なんだか不幸の手紙とか悪質なチェーンメールみたいに思えますけど」 「“もしこれを破れば、あなたの名前の載ったこの手紙がそのうち回りだすことになる”。  この一文で分かる通り、手紙の規則を破ってしまうと、規則を破った人が手紙に書かれるロアになってしまうのよ。  行方不明、というかたちでね」 「はぁ……それで、その手紙を受け取った友達の友達さんはどうしたんです?」  何とも微妙な説明に、生返事で返す僕。  そんな僕の様子を気にも留めずに、依然とした調子で話を続ける城崎さん。  その顔は未だ窓の外に向いたままで、その表情は伺えない。
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