197人が本棚に入れています
本棚に追加
重いドアを開けると、大きな部屋の片隅に彼はいた。二人は余裕で寝れるであろう大きなベッドの真ん中に、酸素マスクをつけていた。
部屋に響くのは、酸素マスクに酸素を送る機械がボコボコとなる音。
彼が、ゆうりくん…
それはそれは綺麗な顔で。いかにもお坊ちゃんという感じだった。
「…こんどはきみが、ぼくのせんせ…?」
「ゆと…です」
眠っていると思ったけど、起きていたらしい。目が開かれ、こちらを向いた。
「…こんなとこ、きちゃ…いけないよ…」
「え…?」
「…ぼくはきみを…ころしてしまう…このてで…」
毛布に隠れていた腕がゆっくりと上がった。白くて細い、目を逸らしたくなるほど傷だらけの腕だった。
最初のコメントを投稿しよう!