イチ

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あの噂は本当だったのか。本当にこの子が… 「…ごじゅうきゅう」 「え?」 「…ぼくが、ころした…かず…」 「59…」 「きみは…ぼくのはなしを、しんじる…?」 「ああ…噂は、聞いてるから」 点滴がなくなっている。交換しないと。後は、心音と体温…血圧… 「いままでのひとは…しんじてくれなかった…それで…」 点滴を交換していると、彼の手が俺の服を掴んだ。 「はやく…にげて…」 「…俺さ、別に死んでもいいんだ。何にも楽しいことないし。だからいい。今すぐ殺してくれても」 服にある彼の手を、俺の首に持っていった。殺してくれ。 「…かわってるね…きみは…」 「ふふっ、そ?」 冷たい手を布団の中に戻して笑うと、彼も酸素マスク越しに笑った。
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