往路だけの想い

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往路だけの想い

彼女と初めて会ったのは、大学の第3講義室・・・。 女友達と笑い合う彼女の笑顔に、俺は釘付けになってしまった。 『葉山美波』という、俺と同じ文学部に通う彼女。 新入生オリエンテーションの時に見た彼女は、栗色のストレートヘアにオフホワイトのシフォンワンピースという出で立ち。 ワンピースの薄い生地が窓から差し込む太陽の光に透けて、まるで天女の羽衣を纏っているかのように見えたのだ。 ―――生まれて初めての『一目惚れ』。 英文学科に所属する俺が国文学科の講義も履修するようになったのは、この『美波』という女性と出会ったからだった。 新入生オリエンテーションの2日後・・・。 国際交流の講義で、あの時彼女と笑い合っていた女友達を見かけた。 『春香』というその彼女は、偶然にも美波と同じ岡山県の出身らしい。 と、いう事は・・・。 春香を介せば、美波とも仲良くなれる。 そう直感した俺は、前々から知り合いの先輩に誘いを受けていたサークルに、春香と美波を誘う計画を立てた。 まずは講義を通じて春香と仲良くなり、サークルへの誘いを仄めかしておく。 そして同郷の友人である美波を紹介してもらい、そこで俺は、美波も同じサークルへと勧誘した。
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