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「……どうして?」
ドウシテ? ドウシテ? ドウシテ?
亡くなっている人間を見るのには嫌でも慣れていたはずなのに、この手で殺めるつもりで乗り込んで来たのに……!
知っている人の死は……こんなにも辛い。まして……一度は愛した人だ。
全裸の死体から目を背ければ、ダブルベッドの傍らにはベビーベッド。急いで近づけば、ぐずっていた子供が、けたたましく泣き出した。
「母親は? どこ?」
普段なら子供の扱いもお手のものな私が、気が動転しているあまり、おろおろと辺りを見回してしまう。
すぐに嫌な予感を覚え、震える手でコートのポケットからスマホを取り出す。アプリを起動し、検索する。
「やっぱり……」
私と一文字違いの彼の奥さんも、【復讐対象者】だった。
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