5人が本棚に入れています
本棚に追加
◆◆◆
白鳥少年の希望を私は叶えた。
「で……僕はここに飛ばされた、と?」
現れた少年は食事中だったのだろう。左手には東アジア地域を中心に用いられている箸という道具、右手には鶏卵を軽く混ぜ、筒状に焼き上げた玉子焼きという料理が乗せられた皿。
動揺は隠せないものの生来の気質なのか、興奮する白鳥少年とは対照的に冷静に私に挨拶をした。
「初めまして。田中太郎と申します」
日本国の教育的階級でいえば小学一年生である田中少年だが、そうは思えぬ物言いに私は戸惑う。
「私が知っている六歳児というのは……その……こんな風ではないはず、なのだが……」
「田中君! 共にラッキースターを殲滅しよう!」
「あ……ああ……」
私の呟きを遮った白鳥少年に、田中少年は決して目を合わせなかった。
最初のコメントを投稿しよう!