第4話

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「ぼく、お父さんと暮らすよ。 お父さんが欲しかったし、 お父さん、優しいし。 それから、向こうのお母さんも、優しくしてくれるんだ。」 とにかく、 海翔と話をしなきゃ… あの人に無理矢理そう言われたのなら、 そんなこと、絶対に許さない。 これからはちゃんと海翔の母親として、 あの子のために生きていく。 まだ、 そうなると決まった訳じゃないんだから。 今なら、まだ、 間に合うんだから。 そう自分に言い聞かせて、家に向かう。 急いで帰ったけど、 海翔はまだ帰ってない。 もうすぐ帰るはず。 きっとそんなのは本気じゃないはずと、 帰りを待った… 大丈夫。海翔は私から離れない。 離れたくないはず。 「ただいま。」 いつもより沈んだ声。 もしかしたら… 「海翔! ウソよね? お父さんと暮らすなんて、 本気じゃないんでしょ?」 いきなり肩を掴んでそう聞いた。 そうすると、 そう言ったんだ… 私より、あの人の方がいいの…? あの人の記憶なんて、 何一つ無いのに。
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