第4話

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出て行った玄関から動けない… ドアが閉まる瞬間に、 振り返ろうとした海翔の顔が見えないまま、 ドアが閉まって… 玄関の土間にしゃがみ込んで、 泣いてた… お母さんも泣いてた。 お父さんが帰ってきたら、 なんて言うかな… もう海翔は居ないんだよって。 言わなきゃ。 海翔。 本当にお父さんの方がいいの? そんなにママが嫌いだったの? 海翔。 ちゃんと最後に話がしたかったよ。 ママさ、 これからちゃんとするからさ、 帰ってきてよ… 譫言のようにそう言ってたって、 お母さんから聞いた。 玄関で倒れたんだって。 意識がなくなって、 病院に運ばれたらしい。 お母さんがそう言ってた。 もういやだ。 海翔にさえあんな哀しい想いをさせたのに、 この上、 子供なんて育てられない。 もうダメだ。 私。 もう。 なにも出来ない…
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