第4話

7/40
前へ
/40ページ
次へ
自分の中に確かに息づく新しい命。 それはちゃんと理解してるのだけど、 どうしていいかわからない。 仕事の方は、 出向かなくても特に問題はない。 連絡事項はオンラインで来るし、 それだけは私の生きる糧だから、 後回しにしては居られない。 もし、それが出来なくなれば、 もうなにも考えなくなるんだろうな… だけど、 そこまでの勇気もないんだ。 ただ、 海翔が居なくなって開いた穴を、 仕事ででも埋めないと、 どうにかなってしまいそうで… もう、仕事だけでいい。 私に必要なのは、それだけなんだ。 {ソファーの隙間から契れた写真を見つけた。 契って、また丁寧に張られた写真。 古くセピアに焼けた、 時代を感じる写真。 父さんと女性が二人で写ってる… 海辺の写真だった。 父さんはまだ20歳台。 この人は… もしかしたらお母さん? 僕のお母さんなんだろうか。 裏をみると、パラオの海。 想い出の場所。 それだけ。 名前すらわからない。 この人が誰なのか。} 書き始めるとすべてが自分に通じてしまう。 構想してた展開が、 生き別れた母。 南の島。 一人でさまよって… 何でこんな風にしか書けないんだろうか…
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

45人が本棚に入れています
本棚に追加