第4話

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季節は冬。 「お母さん…? もし、誰かに私の居場所聞かれても、 誰にも言わないで? 一人で考えたいの。」 そう電話をした。 この子を産むまで誰にも会わない。 もう、 迷わないよ? ごめんね… 不安だったでしょ? 家を出てからひと月。 最初から産まないという選択肢はなかったんだ。 そのことに気付いて、 一人で育てようと決めた。 どうしてそんな選択をしたのか… 遙人に話すと、きっと… 自信はないけど、 困った顔はしないとは思う。 産みたいといっても、 きっと、そうしろと言ってくれるとは思う。 だけど、、 それはきっと邪魔になると思うんだ。 これからの遙人にとって。 私とこの子の存在が、 遙人の未来を妨げる。 そう思ったから。 海翔が出来たとき。 あの人は喜んでくれた。だから 結婚をした。 だけど、 そこから先は、 とても幸せだったとは言えない。 海翔に、 あんなに我慢をさせて、 泣くことも悪いことだと思わせるように、 育ててしまった… 今度は笑って育てよう。 あなたが居るから幸せなのよ? と、言い続けよう。 海翔に、 そうできなかったから。
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