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路面を滑るように飛んでいった枯葉が、道端の吹き溜まりに収まるのが見えた。
バイクに乗って冬の風に吹かれていると、比較的温暖な地域でも指先の感覚がほんの少し鈍る。
しかし三日前までいた僕の故郷のほうが寒かった。こことの気温差は多分20℃以上の開きがあるだろう。
慣れるというのも、いいことばかりじゃない。
道に連なる、黒緑色の葉をつけた街路樹の合間に目的の場所がちらりと見えた。敷地の前で減速して駐車場に入る。
見慣れた建物、見慣れた景色。
まだ昼を過ぎた頃なのに、鈍色の厚い雲が空を覆っているせいで辺りは薄暗い。気分だって滅入りそうだ。
デッキの前にバイクを停めてヘルメットを脱いだ途端、木立を抜けてきた冷たい風が吹き付けてきて僕の髪を乱す。
海沿いはやっぱり冷えるなと髪をかき上げて乱れを直しながら、フックにメットを架けて建物横の階段に向かった。
寒々しい天気でも、僕だけは明るく努めよう。
彼女に逢う日くらい、晴れやかな気分でいたい。
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