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オレが金本から紙切れを受け取ろうとした時、彼を押し退けるように、麻須美が身体を乗り出してきた。
よろけた金本は、そのままソファに沈んだ。
神経質で気弱なだけでなく、ひ弱でもあるらしい。
ちょっと、いい気味だと思った。
逆に小柄な麻須美は、押しが強そうだった。
「キミ、可愛い顔してるのね。目も淡い碧で綺麗だし」
オレより少しだけ背の低い麻須美は、オレが紙切れを受け取るために出した手を握って、顔を興味深そうに覗き込んでくる。
彼女の目は、獲物を見付けたオレ達みたいだった。
でも、当のオレには、何がなんだか分からない。
目の色が、違うことが面白いのか?
気にしたことなかった……
「彼のお父さん、海外のひとなの」
苛付いた声が聞こえた。
オレは一瞬それが誰の声か分からなかった。
でも、味方は“彼女”一人しかいない……
「へぇ、そうなんですかぁ」
にっこりと笑い、納得する麻須美。
オレが振り返る前に、麻須美が猫撫で声で再び言う。
「ねぇ、いくつなの?」
「え、えっと……」
いくつと聞かれても、本当のことなど言えない。
恐らく、猫ではじいちゃんと呼ばれる年齢だし、人間だと――何歳くらいに見えるのだろう?
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