第1話

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 オレが金本から紙切れを受け取ろうとした時、彼を押し退けるように、麻須美が身体を乗り出してきた。  よろけた金本は、そのままソファに沈んだ。  神経質で気弱なだけでなく、ひ弱でもあるらしい。  ちょっと、いい気味だと思った。  逆に小柄な麻須美は、押しが強そうだった。 「キミ、可愛い顔してるのね。目も淡い碧で綺麗だし」  オレより少しだけ背の低い麻須美は、オレが紙切れを受け取るために出した手を握って、顔を興味深そうに覗き込んでくる。  彼女の目は、獲物を見付けたオレ達みたいだった。  でも、当のオレには、何がなんだか分からない。  目の色が、違うことが面白いのか?  気にしたことなかった…… 「彼のお父さん、海外のひとなの」  苛付いた声が聞こえた。  オレは一瞬それが誰の声か分からなかった。  でも、味方は“彼女”一人しかいない…… 「へぇ、そうなんですかぁ」  にっこりと笑い、納得する麻須美。  オレが振り返る前に、麻須美が猫撫で声で再び言う。 「ねぇ、いくつなの?」 「え、えっと……」  いくつと聞かれても、本当のことなど言えない。  恐らく、猫ではじいちゃんと呼ばれる年齢だし、人間だと――何歳くらいに見えるのだろう?
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