第1話

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 敷布団を二棹ある内の一つに干し、キッチンへと足を運んだ。  もう起こす気にもなれなかったからだ。  きっと昨夜も遅くまで仕事をしていたに違いない。  アイコさんは、作家っていうことをしている。  有名らしい。  偶に編集者って奴が、アイコさんに会いに来る。  オレは、会ったことがない。  会わないようにしている。  アイコさんが内緒にしたいなら、オレはそれで構わない。  気にしない。  だって、オレは“ここ”にいられるだけでいいのだから。  二人分の朝食を作るために、やたらでかい冷蔵庫を開けた。  作っていたら、匂いに釣られて勝手に起きてくるだろう。  中には二人分の食料しか入っていない。  それも、高級食材だが。  オレは、その内の卵とベーコンを手に取った。  食パンも、毎週一回配達される、どっかの高級パン屋のものだ。  別に、そこら辺にあるパンと差ほど味など変わりはしないと、オレは思っていた。  息を一つ吐く。
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