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敷布団を二棹ある内の一つに干し、キッチンへと足を運んだ。
もう起こす気にもなれなかったからだ。
きっと昨夜も遅くまで仕事をしていたに違いない。
アイコさんは、作家っていうことをしている。
有名らしい。
偶に編集者って奴が、アイコさんに会いに来る。
オレは、会ったことがない。
会わないようにしている。
アイコさんが内緒にしたいなら、オレはそれで構わない。
気にしない。
だって、オレは“ここ”にいられるだけでいいのだから。
二人分の朝食を作るために、やたらでかい冷蔵庫を開けた。
作っていたら、匂いに釣られて勝手に起きてくるだろう。
中には二人分の食料しか入っていない。
それも、高級食材だが。
オレは、その内の卵とベーコンを手に取った。
食パンも、毎週一回配達される、どっかの高級パン屋のものだ。
別に、そこら辺にあるパンと差ほど味など変わりはしないと、オレは思っていた。
息を一つ吐く。
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