文芸部の日常

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 ちなみにくまさんというのは、確かそろそろアラフォーだったかな、まぁそれくらいのおっさんのこと。先輩--大宮先輩の、叔父にあたる人だ。  人当たりが良くて、誰とでもすぐ仲良くなれる良いおっさんなんだけど、彼の職業が、少し特殊で。 「少しというより、かなり変だな、あれは。果たして職業と言って良いんだろうか」 「うーん、微妙ですけど、本人が言ってるし、良いでしょ」 「にしても、旅人は、なあ……」  先輩が同意を求めるようにこっちを見る。  ……確かにそうは思うけども、一応お金も貰ってるみたいだし……。  釈然としないが、うん、さっきも言った通り、彼は旅人である。  詳しい活動は知らないけど、とにかく旅をしているそうだ。それが仕事になっているのかはさておき、それでお金をもらっている。  ちなみに、くま、というのはあだ名で、本名は……む。 「先輩。失礼な話なんですけど、くまさんって、本名なんでしたっけ?」 「え?本名?……あれ、よく考えたら私も知らない」 「あら、マジっすか」 「私の叔父だから、名字は大宮のはず……うーん、出てこないな」
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