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……そういえば私が小さい頃や学生の頃、家に鍵をかける習慣というものがなかった気がする。
何処かに旅行する時は、用心のためにかけてたけど、家に居る時はあまりかけていなかった。
だからお母さんは今でも戸締りをする事はない。
東京に行って、鍵をかけるという習慣を学んだけどね……。
「そんなに驚いた顔して、一体どうしたんだ?」
いつの間にか目の前までやって来た桜さんに顔を覗き込まれた。
そんな私は言葉を詰まらせる。
さっき流していた涙を見られたくない……。
そしてすぐに桜さんから視線を逸らして、背を向けた。
けど桜さんに強く腕を掴まれると、有無を言わさず振り返らされる……。
「その涙の痕、月と結婚しても泣かされているのか?」
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