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レーナは旅人の状況を見て、旅人に両手をかざすと魔法で治療を始めた。
「癒しの水よ、―アクアケア―」
レーナの声と共に、宙から水が現れ旅人の傷口を覆った。すると旅人のけがが見る見るうちに治っていく。しかし大きな傷は完全に塞がってはいなかった。
レーナは手慣れた手つきで怪我が塞がっていないところに治療箱から取り出した包帯を巻きだした。
「これで大丈夫」
レーナは巻き終わった包帯のところをそっと叩いた。すると、旅人の足がピックッと動いた。おそらく痛かったのだろう。
「これで一晩寝てれば良くなるわ」
「ありがとうございます、それで…あのぉ…お代の方は…」
旅人はレーナの治療が終えると、お礼を言うと、その後は歯切れ悪く、不安そうな顔で聞いてきた。
「お代!?いいわよそんなの、困ったときはお互い様よ」
「~~あ、ありがとうございます!!!」
旅人は、なんと心の広いレーナに、怪我のことなんか忘れたかのように、寝ていた状態から、ベットの上で正座をして頭を下げって泣き叫ぶようにお礼を言った。お金を持っていなかったのだろう。そんなことよりアルスは
(この人、怪我治ってんじゃね?)
そう思うほど、旅人は機敏に正座をしたのだ。
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