第一章 [異変]

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「あんた、森の奥深くまで行ったんでしょ、あの森はね、奥に行けば行くほど危険なのよ、それぐらいわかって行きなさいよ。 それにね、何の薬草かは知らないけど、あの森に生える薬草だったらほとんど入り口付近にもあるのに、不注意にもほどがあるのよ、これだから最……」 レーナはいきなり旅人に説教を始めた。 アルスは、また始まった、と思った。 レーナは昔からよく説教する癖がある。 アルスだけではなく、村の人、時には今回のような初めて会った人にまで説教してしまうことがよくあり、アルスも正直困っている。 おそらくこの一週間で何度もこんなことがあったのだろう、その鬱憤を晴らすかのように、永遠に説教をしていた。 (可哀そうに) アルスは説教を受けている旅人を見てそう思った。
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