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ここは首都から離れた辺境の村「レムレス」
この村は森や川、自然に恵まれた田舎だ。
農業が盛んで、さらに、豚や鶏などの家畜もおり、ほとんどの人が自給自足で生活をしている。
中には町や首都まで足を運び、仕事をしている者もいる。
今、首都での仕事から帰ってきて、村の門の前で突っ立っている一人の青年がいた。
「やっと帰ってきたぜ。ニ週間長かったな」
村の門の前で一人の青年、アルス・アインはつぶやいた。
長い黒髪は目までかかりそうになるくらい長く、瞳に黒曜石であるオブシディアンを思わせる透き通った黒色をしている。
全身黒と見間違えるほどの濃い青と白を基調とした服を身にまとい、肘まである手袋をはめ、羽織るように青のジャケットを着ている。
腰にはベルトを巻き、そこには一本の剣が降り下がっている。
「今回の依頼は長旅だったからな、あぁ~疲れたぁ…早く帰ってひと眠りするか」
アルスは荷物を持ったまま両手を上に上げ、背筋を伸ばして、あくびをしながら自分の家に向かって歩きだした。
「あ、アルスお兄ちゃんだ」
「おう、元気にしてたか?」
「今回は長かったねぇ、どんな仕事だったの?」
「ただの魔物討伐だよ」
「お、アルスお帰り、レーナさんが寂しがってたぞ、早く帰ってやんな」
「そう言うなら、足を止めさせんなよ」
アルスの家は村の一番奥にある。
そのため道中で近所の子供やおばさん、畑仕事中のおじさんなどが話しかけてきた。
アルスは村の中でも人気者であった。
そんなこんなで話し込んでいるうちに時間は過ぎていった。
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