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「ハァ~、やっと家に着いた。
村の門からここまでいつも長く感じる」
村の門から家まで二百メートルもないというのに、いつも村の人との立ち話になり着くのが遅くなる。
やっとのことで家に着いたが、家のドアの前で止まって数秒立ち尽くした。
「………ニ週間も留守だったからな…いつもの来るだろうな…」
そうつぶやきながらも扉を開けた、すると
「ただい」
「アルスゥ~~」
中から出てきた女性が突然アルスに抱き着いてきた。
「あはは、ただいま、母さん」
アルスが母さんと呼ぶこの人は、レーナ・ストイン、肩まで伸びたセミロングの金髪でふんわりとして見えるが髪の先端は決まりがないようにあちこちに跳ねており、目はアクアマリン色の透き通った水色をしている。
料理の途中だったのか、エプロン姿をしている。
美しいほど整っており大人びた顔をしていて村の中でも人気はあるのだが、アルスのことを溺愛している。
「んも~帰ってくるの遅かったじゃない。
心配してたんだから~」
レーナはアルスに抱き着いたままアルスの顔に頬につけてすりすりしながら言った。
「とりあえず離れて、母さん、苦しい」
アルスそんな状況が苦しかったのか、レーナに離れるようにいうのだが、
「ダメ、心配させた罰!もっと抱きしめちゃう」
するとレーナは力いっぱい抱きしめた。
「いぎぎギ…ギ、ダメダメ、ギブギブギブ」
休むどころかレーナの拘束により、さらに疲れたアルスであった。
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