第一章 [異変]

4/41
前へ
/1023ページ
次へ
外はすっかり暗くなっていた。 くるっくー 村近くの森からフクロウであろう、鳴き声が村まで聞こえてきた。 トントントントン… 家のキッチンで食材を切る音がする。レーナがエプロンを着用し夕飯の準備をしていた。 アルスはというと自室のベットで寝ていた。 「アルス―、御飯よー」 夕飯の準備が終わりアルスを呼ぶが返事がない、 「しょうがない、起こしてやるか」 レーナはアルスの部屋に向かった。 部屋に入るとすぐにレーナはアルスが寝ているベット目掛けてダイブした。 「えい!」 レーナのダイブは見事にアルスの腹部に直撃した。 「んぐ!?」 あまりもの衝撃によりアルスは一気に目を覚ました。 「やっと起きたわね」 レーナはアルスが起きることを確認すると布団から離れた。 「もっとマシな起こし方しろよ、あ~」 アルスは痛みを感じた腹をさすると、頭をボリボリかきながら眠たそうに言っ た。 「呼んでも起きないからよ、ご飯出来たから早く来る!」 「おやすみ~」 アルスはよほど眠いのだろうか、レーナに構わず寝ようとしたが、 「……もう一回、してあげようか…」 レーナは獲物を見つけた狩人のような目つきでそう答えた。 「よ、よーし久々の母さんのご飯楽しみだなー」 アルスは悪寒を感じてすぐにベットから飛び起きた。 よほど痛かったのか、アルスはもうあれを受けたくないらしい。
/1023ページ

最初のコメントを投稿しよう!

93人が本棚に入れています
本棚に追加