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どれくらい経っただろうか?
殴られても、蹴られても声を出さなくなったカイン
見事に痩せきれているし、アザだらけで死んでいないほうが不思議である
毎日が理不尽で、何故自分は生きているのか、疑問にすら思えていた
そんなある日
珍しく父親が地下にやってきた
「チッ、まだ生きていたのか……まぁいい、生きていたのならゴミのお前を有効に使ってやろう」
自分の息子を虫けらを見るような目で見ている父親
その側に女の子が立っていた
そう、カインに日付の感覚はなくなっていたが、既に五歳となったクレアである
つまり、カインも五歳になったのだが、とても五歳には見えない
「お久しぶりね、貴方のようなクズを兄とは呼びたくはありませんけど…」
二年……二年でクレアは父親と同じような人間になっていた
「こいつを魔法の的にしていいんでしょ?お父様」
「あぁ、頑張るんだよクレア」
二人の会話で、何故ここに来たのか理解したカイン
カイン(狂ってる……こいつらは人間じゃない……僕は…こんな奴等に殺されないといけないほど悪いことをしたのか?)
狭い牢の中、光の矢が体をかすっていく
カインに逃げる体力などなく、もがくぐらいしかできない
それを見て笑っている父親とクレア
カイン(……………殺してやりたい……絶対に生き抜いて……殺してやる)
カインの瞳は憎悪に染まっていた
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