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その日からどれくらい時が過ぎたのだろうか?
クレアは時々やってきて、カインを罵倒しながら魔法を放つ
時には他の貴族の子供も居て、ニヤニヤと笑いながらカインを魔法の的にしていた
放っておけば死ぬような傷を負う毎日で、気付いたことは正体不明な黒い球体はカインの傷を癒しているらしいことだけだ
数倍以上の痛みを与えながらなので死んだ方がマシだとカインは思ったが、復讐を決意した今では例え苦痛を与えられようと耐えていた
既に身も心もボロボロで、復讐したいという思いだけで生きているカイン
だが、それも終わる時がやってきた
父親が地下牢にやってきたのだ
「お前の母親が死んだぞ」
だから何だと言うのだろうかとカインは思う
「ずっとお前を牢から出せと煩かったが、病気であっけなく逝ったな、これで誰にも遠慮することなくお前を始末出来る」
カインは微かに体を震わせた
殺しにこられたら確実にカインでは抵抗もできないからだ
「まぁ、彼女はお前を大切に思っていたようだからな、せめてもの情けに生き残る確率をあげてやろう、殺すのではなく貴様を魔樹の森に捨てることにした」
昔、読んだ本の記憶が甦る
魔樹の森は魔族の住む城を囲む瘴気の森だ
人間には毒でしかない
「貴様が居なくなるなんて清々するよ、じゃあなクズ」
父親が強制転移の魔法を発動し、光に包まれてカインは地下牢から姿を消した
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