第03話:仕返し

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 いつものように学校へ登校すると、下駄箱にあるはずの上履きがなぜか無かった。  まさか、あいつ?  俺は教室へ駆けつけた。 「おい」  足払い女に声をかける。 「何?」 「上履き隠したわね?」 「私、何もやってないわよ」  俺は足払い女の胸ぐらを掴んで睨め付けた。 「放しなさいよ!」  突き放す俺。  足払い女は椅子ごとひっくり返った。 「痛! 何すんのよ!? 先生に言うからね!」  足払い女が逃げるように駆けていった。  それから暫くして、俺は校内放送で職員室へ呼び出された。 「坂上、上田に暴力を振るったというのは本当か?」 「あいつが悪いんです、私の上履き隠すから」 「上履き?」  教師が俺の足下を見た。 「あいつが隠したという証拠はあるのか?」 「あいつは昨日、トイレで水をかけてきました。上履きだって十中八九あいつの仕業です」 「迂闊に決めるな! お前のそのやり方があいつを傷つけたんだ。お前だっていきなり上履きを隠した犯人だと言われてみろ。その時、お前ならどうする?」 「……迂闊でした」 「分かったら謝ってくるんだ」  俺は教室へ戻り、足払い女、元い上田に声をかけた。 「上田さん、さっきはごめんね」 「分かればいいのよ」 「で、上履きはどこ?」 「知らないわよ。もう一度よく下駄箱探したら?」  俺は下駄箱へ移動した。  聡美の上履きは聡美の下足入れにちゃんと入っていた。  俺は上履きを履き、教室に戻って席に着いた。  チャイムが鳴り、担任が入ってくる。 「ホームルーム始めるぞー。と、その前に出席確認だ」  教師が出席を取り、全員登校していることが分かると、いつものくだらない話をし、教室を出て行く。  一限は体育だ。  俺はジャージに着替え、皆と一緒に体育館へ向かう。  上田たちはいない。  チャイムが鳴ると、体育教師がやってくる。 「皆いるか?」 「上田さんたちがいません」 「あいつらか。放っとけ。それじゃあ始めるぞ」  今日は男女合同でバスケットボールをやるそうだ。  男女六人五チームに別れ、交代制の試合が始まる。
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