第05話:誘拐される

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 朝、俺は加賀美先輩の家へやってきた。  加賀美先輩が家から出て来る。 「あ、待っててくれたの?」 「はい」 「ありがとう」  俺達は学校へ向かう。 「坂上さんって好きな人いるの?」 「何ですか? 藪から棒に。いないですけど」 「じゃあ、俺の彼女になってよ」 「は?」 「俺、坂上さんが好きなんだ」  モテるね、聡美。 「何で私なんですか?」 「強いし、可愛いし、俺の理想の女性だよ」  どうしよう? 俺も加賀美先輩は好きだけど……いや、そっちじゃないけど、うーん……。 「坂上さん、聞いてる?」 「え? ああ、聞いてますよ」 「考える時間が必要?」  付き合ってみるか。 「いりません」 「じゃあ、答えを聞かせてくれるかな?」 「お付き合いしてもいいです」 「よっしゃー!」  喜んで飛び跳ねる加賀美先輩。  と、そこへこの間の二人組とがたいのいい男が現れる。 「兄貴、この女ですぜ」 「お前か、俺の子分達を可愛がってくれたのは」 「何、貴方達?」  がたいのいい男が一瞬で俺の懐に入り込んだ。  避けられなかった。  殴られた俺は五メートル後ろへ吹っ飛んだ。  男が歩いてくる。 「ざまあねえな」  俺はネックバックで起き上がった。 「てめえ!」  俺は殴るが、手の平で受け止められた。 「よく見たらお前、可愛いじゃねえか。どうだ、俺の女にならねえか?」 「人の彼女、取らないで下さい」  加賀美先輩が間に入り込んだ。 「お前は加賀美コンツェルンの御曹司だな。ちょうどいい。俺は二人に用があるんだ。来い!」  俺達は男に連れて行かれた。  そしてやってきたのは、湾岸倉庫だった。 「こんな所に連れてきて何をする気なの!?」 「こうすんだよ!」  二人組が用意したロープで俺達を縛った。 「誘拐ってこと」 「そういうこと」  男と二人組は倉庫を出て行った。
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