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「坂上さん、ごめん。こんな事になるんなら、君を雇わなければよかったね」
「いえ、気にしないで下さい」
「優しいんだね」
「取り敢えず、ここから逃げる方法を考えましょう」
俺は辺りを見渡したが、脱出に使えそうなものはなかった。
「健さん、刃物は……ないですよね」
その時、ロープが切れた。
「え?」
疑問に思った俺が加賀美先輩の手元を見ると、カッターナイフが握られていた。
「何でそんなもの持ってんですか?」
「護身用」
「銃刀法違反ですよ!」
「警察なんて金で黙らせられるよ」
億万長者め……。
「取り敢えず、逃げよう?」
「そうですね」
その時、男と二人組がやってきた。
「あ、てめえら!」
縄が切れていることに気付く三人。
「逃がさないからな」
男は手錠を取り出し、俺達を配管に繋いだ。
「これで逃げられまい」
三人は去っていく。
俺は空いている片手で携帯を取り出して警察に通報した。
やがて警察がやってきて、俺達は保護され、犯人も捕まった。
その後、俺は加賀美先輩を家まで無事に送り届けて帰路に就くのであった。
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