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放課後、俺は学校の屋上にやってきた。
目の前には、聡美に好意を寄せているクラスメイトの三崎 達也がいる。
「話って何?」
「好きだ! 俺と付き──」
「イヤだ」
と、俺は三崎が言い終わる前に返事をした。
「まだ最後まで言ってねえよ!」
「ごめんね。私、今は誰とも付き合う気はないから」
そう言って歩き去る俺。
「待ってくれ!」
三崎が追ってくる。
「俺は真剣なんだ!」
「無理なものは無理!」
俺は教室に入り、席へ着く。
「坂上さん、もしかして他に好きな人が?」
「いや、そう言う訳じゃないけど……」
俺は聡美じゃないので、彼女の断りなく告白を受けられる訳がない。が、俺的にはイケメンだからオッケーしてやりたい。
「じゃあ何?」
「詮索しないで」
三崎は自分の席に着いた。
俺は携帯を取り出し、三崎の事を聡美に送った。
聡美が送ってきた返事には、「無理」と書いてある。
ほらね。
俺は携帯をしまう。
「聡美」
クラスメイトの女子が声をかけてきた。
誰だったかな?
「あのさ、宿題やってきた?」
「何の?」
「五限の数学よ」
「やってきたよ」
「写させて」
「てめえでやりな」
「冷たいわね。もうアンタとは口利かないから」
はいはい。
チャイムが鳴り、数学の教師が入ってくる。
「授業始めるぞ。先ず宿題を提出してくれ」
俺は数学のプリントを教師の下へ届けようと歩き出すと、先程の女子に足を引っかけられて転んだ。
「痛!」
「何やってんだよ、坂上。大丈夫か?」
心配してくれる教師。
俺は先程の女子を睨め付けた。
「何よ?」
「(後で折檻してやる)」
聞こえないように小声で言う。
「あ?」
俺は無視して教卓に宿題のプリントを置いて席に戻った。
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