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コーヒーができるのを黙って見つめてたけど
落ち着いて考えてみればオレ、今先生んちで2人きりなんだ…
なんか…緊張…
「哲也ってさ」
「え?何?! 」
「将来バリスタとか目指すの?」
「う…ん、それも最近気にはなってます。うちの店だけじゃ本格的なことできないから…ちゃんと勉強してみたいけど…」
「けど?」
「………笑わない?」
「聞いてみないとわかんない」
「ダンス…もね、ちゃんとやってみたくて…それで生活できたら…とか……」
うーーー!恥ずい!
あんなに踊れる先生が教師って仕事をちゃんとしてるってのに
オレは何そんな夢みたいなこと…
でも、先生はそんなオレの話を黙って聞いてくれて
「こんなの夢物語だよね…」
「でも、願わなきゃ何も始まらないじゃん」
そう言うとオレの頭をぽんぽんとして
「哲也はこれからなんだってできるんだから、たくさん夢見ないと」
いや、それを言ったら…
「先生だって、まだ若いんだからなんでもできるでしょ」
「おい、なんかトゲあるなぁ」
2人で笑いながら
改めて先生の優しさとか、大人っぷりを感じて
「そばにいてね…」
無意識に言葉が出てて
「え…」
「……は?! 今オレ…いや!なんでも…!」
慌てて訂正しようと思ったら
先生は少し下を向いて
「先生…?」
「一緒にいような」
次の瞬間には先生の顔が近づいて
触れるだけのキスをして
「よし、コーヒーできたかな」
「あ…そうですね……」
「次は哲也のコーヒーカップ買いに行くか」
先生といたら
どんどん夢が増えていきそうだなぁ
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