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「質問に答えよう」
大きな黒い瞳に、冷やかな色をのせて淡々と説明してくれるべっぴんさん。
何か…怒ってらっしゃる?
「先ず、此処は私の家だ。私は夕餉のために釣りをしていたのだ」
…釣り。そういやぁ、ほっぺたの痛みって…。
「今日こそは川の主を釣ってみせようと意気込んで臨んだ矢先、糸に掛かった感触にどれほど心踊ったことか…」
あー、つまり釣れたのが俺だったからガッカリだった、と。
「釣り上げてみればただの人間。しかも傷だらけで死にかけ。更には血の匂いに怯えたのか、魚達は怯えて逃げてしまい釣果は坊主」
…釣り上げた?って言った?この人今釣り上げたって言ったよな?
「おかげで夕餉は無し…。ならばせめて唯一の成果だけでも無理して食べるしかないだろう?」
……。
………。
…………え?
「もしかして、俺の事助けた訳じゃなく、獲物として持ち帰っただけ?」
「それ以外に理由など無いだろう?」
柔らかく弧の字を描く唇とは対象的に、瞳は全く笑っていないべっぴんさん。片手にはいつの間にか出刃包丁が掲げられていた。
俺…食われる感じ?
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