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はたから見れば俺はただの阿呆だろう。出刃包丁投げつけてくる輩とまだ同じ場に居ようとするんだからな。
だが、このべっぴんさんを目前にして同じ事が言えるのかと問いたい程凄まじく綺麗なんだよ。京の都に来て数日。べっぴんさんを山程拝んできた俺なのに、本当に目が離せなくて困るくらいだ。
せめて目に焼き付けてから帰っても遅くはないと思う。もったいねぇ。
なんて一人悶々と考えていると、べっぴんさんはいつの間にやら俺の隣にまで来て、
「脱げ」
「…へ?」
ちょっ、ちょっとマジか?展開が早すぎねぇか?まさか美人局とかじゃあ?
俺の前に座り、無表情に手を伸ばしてくるべっぴんさん。
勿論拒否なんてもったい事をせず、されるがままに着物を剥ぎ取られ…
「…やはり傷が開いているな。布を変えるから横になれ」
至極真面目なお顔です。はい。
…期待し過ぎたぜ。
慣れた手付きで腹の傷に薬を塗り、当て布を変えていくべっぴんさん。
あー、そういや崖から落ちるわ川に落ちて流されるわで腹が痛かったからな。そりゃ傷も開くか。
すっかり忘れてたが。
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