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「あんまり…変わらねぇもんだな」
人々が住む町の中心を離れ山へと足を踏み入れてみたが、やっぱり山はどこも代わり映えしねぇもんだな。
生い茂る草木、穏やかに流れる清水、どこかで囀る鳥の気配。
俺の居た松前藩の山と何ら変わらねぇ空気に、心なしか居心地の良さを感じる。
…このまま此処で住むのも悪くねぇかも。
うん。
空気は美味いし飲み水もある。ちっと深い川でも探せば魚もいるだろう。中々深い山だから猪もいるかもな。
狩りは得意なんだよな。猪かぁ…牡丹鍋美味いよなぁ。
「よし、そうと決まれば善は急げだな!早速寝床になりそうな場し、ょ…って、うおおおおおっっ!」
軽やかに山道を登っていたはずが、あろうことか、道がねぇ!というか地面がねぇよ!
ずざざざっ!と勢いよく滑る斜面。水場が近いのか、最近雨が降ったのかは知らねぇが、ヤバイ!
場合によっちゃあ死ぬぞこれ!
「ぬがあぁぁぁっ!」
こんなところで死んでたまるかあああぁっ!
渾身の力を入れて斜面に指と足先をめり込ませて何とか落ちていく体を止める。
あ、やった。止まった!
よし、次は何か捕まる木の根でも…
ズル。
ってまた落ちるううぅっ!
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