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意識を取り戻す頃には、陽は昇っていた。虚ろな瞳で窓を見つめる。暖かい日差しが射し込んでいるが、俺の冷めた心までは射し込んでくれなかった。 「…………」 なにも言わず、重い身体を起こす。一階からはなにも聞こえない。両親が居なくなったのかと頭の隅によぎった。 ……どうでもいいや 昨日の出来事を目の当たりにした今の俺は、自暴自棄になっていた。 扉を開き、階段の前に立つ。転がり落ちれば、少なからず怪我をする。運が良ければ、骨折程度で済まされるかもしれない。 「……別にいいよな……?」 俺が怪我を負ったところで、あの両親は気にも止めない。俺が死んでも哀しみを嘆く事は無いだろう。 ……疲れた、な 笑う事を滅多にしなくなった俺の頬が僅かに緩む。俺がどれだけ努力しても、両親は愛情を注いでくれない。 気付きたくなかった事実。それを気付かせたのは、顔も名前も知らない赤ん坊。 ………… 階段に足を置く。そのまま、身体を前に押し出す。案の定、バランスを保てなくなった身体は無惨に階段を転がり落ちる。 大きな音は家に響かなかったが、俺の身体は確かに何度も階段に打ち付けられた。 ……っ、なんでだよ…… 床まで落ちた俺は歯を食いしばり、弱々しく拳を握った。どうやら、俺の身体は丈夫らしい。 階段から落ちたのに打撲や切り傷などの軽傷で済み、大怪我や致命傷を負う事は無かった。 だが、身体中がジンジンと痛み、指を動かすのも容易ではなかった。
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