プロローグ

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マースレチ・グイン。 これが少年の名だ。銀に染まった髪は陽に照らされて、眩い光を乱反射している。あまり大きくはない緑色の瞳には、どこか人生にうんざりしているようにも見える。 白い半袖のシャツは薄汚れ、長ズボンに至ってはみずほらしい形になっている。 「…………」 少年はただひたすら竹刀を降り続けた。しかし、それは他人の為ではなく、自分の為だった。 いつか、自分を見てくれる。それを自己暗示するように、時折口にした哀れな少年。
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