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親の厳しい稽古が始まって、もう1年が経とうしている。親は俺に休む機会すら、ろくに与えてくれず身体は悲鳴を上げ始めた。 「……っ」 頬を伝う汗を拭い、歯を食いしばる。近くで父親が俺を見ていて、稽古をちゃんとこなしているか監視している。 俺は父親が憎くて恨めしくて、そんな父親から愛情が欲しくて仕方がなかった。 「動きが鈍い!!しっかりやるんだ!!」 父親の容赦ない罵声が俺に飛んでくる。ピタリと動きを止めた俺は、父親を見つめて表情を曇らせた。 一度でいいから、褒めて欲しい。あの大きな手で頭を撫でて欲しい。幼い自分は、それを何度願った事だろう。 しかし、現実は甘くない。動かない俺に苛立ったのか、父親は俺のもとへ近付き、俺の身体を蹴り飛ばした。
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