俺が在る意味は

１

今回の暴力はかなり酷い。身体中がジンジンと痛み、動く事すらままならない。身体に付着した土を払い落とす気力は毛頭無い。
今、父親は居ない。このまま意識を失い、眠りに入りたい。
だが、そんな場面を見られてしまえば、暴力がふるわれる。

俺は歯を食いしばって、痛む身体を無理やり起こす。今更ながら、口の中に広がる鉄の味に気付く。血が出ているんだなと理解したところで、なにか変わる訳でもない。

「……大丈夫だ……きっと……」

俺は震える両手で竹刀を掴み、荒い呼吸を整える。
両親は今、俺を兵士にさせたくて仕方がないのだ。俺が兵士になれば、こんな暴力はもう訪れない。恐らく、いやきっと、褒めてくれる。
両眼から自然と零れる雫を拭う事はせず、父親の言われた通りに従う。

臆病に生き、淡く儚い希望を抱く俺は、哀れな人形。