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その声に、ピタリと彼は脚を止めた。
「一人前に傷ついた顔してるんじゃないわよ!
あんたが近付く女を簡単に抱いて捨てるような男だからでしょう?
自分のことを棚に上げて、人を責めたりしないでよね!」
その言葉に、彼は顔を歪ませながらユラリと振り返った。
「はぁ?何言ってんだよ、酔っ払って誘って来たから寝ただけだろ?
最初からなんの約束もしてねーよ、何が悪いんだよ!」
「そうよ、そんな男だから誘ったら簡単に捨ててくれると思ったのよ!」
「自分の初めてをそんなに簡単に扱っていいのかよ!」
「私の初めてなんて、ただの足枷だったもの!
好きな人にもドン引きされた重い足枷だったもの!
だから、この足枷をはずして好きになった人になんの重さも感じずに受け入れてもらえる女になりたいって思ったのよ!
それの何が悪いの?」
そう言って涙を流した私に、彼は大きく目を開いてこちらを見た。
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