第3話 永井祥の困惑

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身体を起こして、サイドボードを見ると、 『ありがとうございました。 今夜のことは誰にも言わないで下さいね』 というメモと共に、金が置いてあった。 なんだ、この金? 置かれた中途半端な金額の金を見て、丁度このホテル代の半額であることに気がついた。 はぁ? なんで、ホテル代なんて置いて行ってるんだよ? そう思いタクシーの中で『割り勘にしますから』と声を上げていた彼女を思い出した。 それを律儀に守ったわけだ。 まったく信じられない。 メモを手に取り、 どうせ、どこかにメアドを書いてるんだろ? と改めて見たが、どこにも書いていない。 シーツに残された赤い染みに、思わず額を押さえる。
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