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身体を起こして、サイドボードを見ると、
『ありがとうございました。
今夜のことは誰にも言わないで下さいね』
というメモと共に、金が置いてあった。
なんだ、この金?
置かれた中途半端な金額の金を見て、丁度このホテル代の半額であることに気がついた。
はぁ?
なんで、ホテル代なんて置いて行ってるんだよ?
そう思いタクシーの中で『割り勘にしますから』と声を上げていた彼女を思い出した。
それを律儀に守ったわけだ。
まったく信じられない。
メモを手に取り、
どうせ、どこかにメアドを書いてるんだろ?
と改めて見たが、どこにも書いていない。
シーツに残された赤い染みに、思わず額を押さえる。
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