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そう思いながらも脚を止めると。
「一人前に傷ついた顔してるんじゃないわよ!
あんたが近付く女を簡単にやり捨てるような男だからでしょう?
自分のことを棚に上げて、人を責めたりしないでよね!」
そう叫んだ彼女に心底ムカついて振り返った。
簡単にやり捨てる男だと?
付き合ってる女を捨ててるわけじゃねぇし、やりたいって言ってきた女を抱いただけだ。
「はぁ?何言ってんだよ、酔っ払って誘って来たから寝ただけだろ?最初からなんの約束もしてねーよ、何が悪いんだよ!」
そう叫ぶと、
「そうよ、そんな男だから誘ったら簡単に捨ててくれると思ったのよ!」
と彼女も声を上げた。
本当に腹が立って仕方がない。
こんな女、信じられない。
「自分の初めてをそんなに簡単に扱っていいのかよ!」
吐き捨てるようにそう言うと、
彼女は目に涙を浮かべた。
「私の初めてなんて、ただの足枷だったもの!
好きな人にもドン引きされた重い足枷だったもの!
だから、この足枷をはずして、好きになった人に、なんの重さも感じずに受け入れてもらえる女になりたいって思ったのよ!
それの何が悪いの?」
そう言って涙を流した彼女に、
言葉が詰まった。
今まですべてが分からなかった、つかめなかった彼女を
初めてつかんだ。
そんな気がした。
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