第4話 葛藤。

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こちらを見詰める瞳。 胸が苦しいくらい、締め付けられる。 惚れた弱みだ。 そう、お前の訳の分からない言動に、 俺の下で少しずつ女になっていったお前に、 何もかも奪われた。 馬鹿みたいだよ。 今、真剣に思ってる。 お前が足枷を捨てる相手に選んだのが、田辺や他の男じゃなくて良かったって。 俺を選んでくれて、本当に良かったって 馬鹿みたいに思ってるよ。 ……サクラ。 また強く拳を握り締める。 「俺は前の彼女に裏切られてから女が信じられなくて、付き合う気にもなれなかった。 だから誘われたら寝てたけど付き合おうとは思わなかった。 でも、お前と関わって色々考えすぎて、いつも目で追って気が付くと好きになってたんだよ! 真相を知ってムカッ腹立つし、お前なんて知らねーって言いてぇけど、駄目だ」 そう言うと、彼女は少し身を乗り出した。 「な、なにが?」 戸惑いながら視線を合わせた。 そうだ、しっかり見ろよ。 信じられないだろうけど、 俺が誰かに告白するのは、これが初めてだ。 「まだまだ、俺はお前を抱きたい。 このまま意地を貫いて、お前を手放して他の男に奪われるなんて我慢できない」 マジでムカついてる。 こんな女。 けど、仕方ない。 好きなんだ。
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