第5話 春がキタ!

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何もかも奥手だった私に、生れて初めて彼氏ができたのは、 2年前の……22歳のとき。 付き合って二週間目でキスをして、1ヵ月半経った時に彼の部屋で押し倒された。 いよいよ、大好きな彼と結ばれることにドキドキしながら、 「あの……、実は初めてなの。 だ、だから、なるべく優しくして欲しいな……」 そう漏らすと、 「えっ?」 彼は身体を硬直させ、顔を引きつらせた。 「マジで?おかしくね?サクラ、22だろ?」 と明らかに動揺し、『なんだこいつ』という目を向けた。 「う、うん……、ちょっと遅いよね」 彼はしばし動揺したあと、弱ったように頭をかいて、 「……初めてが俺なんかだったら、あれだろ?」 と顔を引きつらせながら、そう言った。 22才にもなって処女であることが、きっと重く感じたのだろう。 無理もないのかもしれない。 この齢まで未経験でいることは、男にとって引いてしまうんだ。 そう、思った。 大きなショックを受けたのに涙も流れず、『そうだよね』と彼の前でニヘラと笑った。 ここで、私の恋は終わったんだ――
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