軍犬エル

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《ふぁ~…よう赤井、ここも避難民で酷い有り様だ。非戦国家は何処へやらだな。》 まだ幼さの残る顔立ちの可愛い系と言うべきか、髪は邪魔にならないショートカットの女性は、首を左右に倒し骨を鳴らし、両手をググッと伸ばし背中を反らせ胸を突き出しながら大欠伸する女性。 彼女の名は梓楓(あずさかえで)階級は士長、僕と同期であり、女性ながら高い身体能力を持ち、新隊員訓練期間中は常に表彰される程であった。彼女とは同じく犬が好き、育てたいと言う事で話が合い、そこそこ仲良くは、しているつもり。 本来であれば軍用犬育成を主としてしているが、状況が状況だけにそうも行かない、現在育った軍犬の殆どは赤国に生き残った隊員と共に連合軍に合流し前線で活躍してくれているはずだ。 《赤井士長、話がある、悪いが中隊長室まで来てくれ。》 突然、後ろから声を掛けられビックリしながら振り返れば、肩幅が広く、身長も180センチ位ある40代の男性が手招きしていた。胸の名札には第2中隊長の文字。
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