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『水木、今の…』
甲斐が水木を見る。
『ああ。朱璃だ。』
わかるのか?水木と甲斐には違いがわかるのか?
残念ながら、オリジナルの嶋田朱璃本人と全く会話をした覚えのない俺にはよくわからなかったが、2人は確信したようだった。仲が良かったこの2人が言うのなら、そうなのだろう。
『朱璃…ごめん。俺…朱璃が辛い思いしているのわかってたのに、エレナを止められなくて。交換条件にエレナに付き合ってって言われるのが嫌だったから…本当にごめん。』
水木は嶋田と目を合わせず、自分に言い聞かせるように言って頭を下げた。
甲斐がキレ気味に弁解をする。
『ちょっと、何それ。私だけ悪者?それに朱璃がああなったのは私のせいじゃないって言ったでしょ!!ねぇ、朱璃、何があったの?教えてよ、こないだ言ってたアイツって誰なの?』
流れは「アイツ」の正体に向かうと思われたが、山瀬がイジメの方に引っ張り戻した。
『は?エレナ、あれだけのことしておいてよくも私のせいじゃないなんて本人の前で言えるね。』
『だから、そのことは2人の時に話して、カタがついてるの。余計なこと言わないで。』
『余計って何よ!!2人の時って、顔も見ずにでしょ?本当に嶋田さんだったかどうかもわからないのに。』
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