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山瀬も嶋田のことをまっすぐには見ないまま、懺悔を始めた。
『朱璃…ごめんなさい。私、クラスから浮くのが怖くて、なんとなく朱璃の悪口言ってた。本当はどんな子かもよく知らないのに。わざと避けたり、影で笑ったり。朱璃の持ち物がなくなった時も、エレナの仕業だってわかってて面白がってた。それなのに、いつも動揺したり騒ぎ立てたりもせず、朱璃は淡々と過ごしているように見えた。まるで私達の方が朱璃に無視されているようで…そう、私たちは朱璃の強さを感じていた。だから余計に怖かった。もし矛先が自分に向いた時に自分にはできないって。朱璃が矢面に立ってくれているなら、ありがたいって。だから、朱璃が死のうとしたって聞いてショックだった。だって…そんなに思い詰めているようには見えなかったから…』
途中からは熱く語り出し、舞台のセリフか何かみたいになった。
本当の気持ちなんだろうけど、謝罪というには違う気がした。
甲斐は感情的で、声を震わせながら叫ぶように言った。
『朱璃が、気づかないからだよ!ボッチになったのは私の方だった。みんな、私の顔色を伺うばっかりで、本当の話ができる友達なんて一人もいなかったの。確かに、キモイとかブスとか一回死んでやり直せば?とか言った。調子に乗った誰かが私に「キモイ奴の体操服あるけど、どうする?」って言ってきて、「捨てれば?」って言ったこともある。「ブスの持ち物触ったらブスが感染る」って揶揄ったこともある。でも、本当にあの時の朱璃キモかったじゃん。それまで普通だったのにさ、水木ならわかるでしょ?私は、元の、仲良かった頃の朱璃に戻って欲しかっただけなの。』
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